腰痛が出た際にまず足を運ぶべきところは整形外科です。
特に腰に強い痛みや腫れ、熱感、お尻や足先に痺れが感じられる場合は必ず医師の診断を受けるようにしてください。(本来、症状の診断を下せるのは医師のみで、整骨院の柔道整復師、鍼灸師、整体師、スポーツトレーナーなどは診断を下す事はできません。)
しかし、医師の診断を受けても異常が認められず、痛み止めの湿布と安静やストレッチを指示されて終わりというケースも少なくありません。
X線やMRIの画像診断で腰椎椎間板ヘルニアなどの異常が認められない場合でも腰痛が起こることは多々あります。そのような場合や長年慢性的に悩まされている腰痛には、骨盤や股関節の筋肉の柔軟性をチェックしてストレッチすることが腰痛の症状緩和に有効です。
骨盤や股関節の筋肉の硬さによって起こる腰痛について
骨盤と腰の背骨は連動して動いていて、骨盤を立てた時に腰の背骨の反りが大きくなり(骨盤の前傾と腰椎の伸展)、骨盤を寝せると腰の背骨の反りが小さくなり丸まります(骨盤の後傾と腰椎の屈曲)。これを腰椎骨盤リズムといいます。
骨盤と股関節の筋肉が硬くなることによって、腰椎骨盤リズムの動きに乱れが生じます。
前屈の動作で痛みが出る腰痛を屈曲型腰痛、逆に体を反らす動作で起こる腰痛を伸展型腰痛と呼びます。
伸展型の腰痛に有効なストレッチ
腰を反らせた時に起こる腰痛のことを伸展型腰痛といいます。
伸展型腰痛は、骨盤の前傾に働く筋肉が硬い人に起こりやすい腰痛です。
腰椎と骨盤の前面にから大腿骨に付いている腸腰筋、太腿の前面にある大腿直筋、体幹の背面の脊柱起立筋の柔軟性が低下していて、太腿を後ろに伸ばす股関節の伸展動作の可動域が狭まっている人に多く起こります。
(腹筋下部の筋力不足により骨盤を後傾に操作できずに起こるケースもあります。)
【股関節の伸展動作と参考可動域】
太腿を後ろに伸ばす動作(股関節伸展)の参考可動域は15度で、15度と比べて可動域が狭い人や、この動作を行った時に腰ばかり反ってしまう人が多いです。
このタイプの腰痛には、過度の腰の反りを緩和させるために、腸腰筋、大腿直筋、脊柱起立筋をストレッチして柔軟性を取り戻すことが腰痛の症状緩和に有効です。
また、骨盤を後傾にコントロールする腹直筋下部を鍛えることも大切です。
屈曲型の腰痛に有効なストレッチ
伸展型の腰痛とは反対に、前屈動作を行った時に起こるものを屈曲型腰痛をいいます。
屈曲型腰痛は、骨盤の後傾に働く筋肉が硬い人に起こりやすい腰痛です。
骨盤後面についている大殿筋、太腿の裏側のハムストリングス、体幹前面の腹直筋の柔軟性が低下しいて、脚を上に挙げる股関節の屈曲動作の可動域が狭まっています。
【股関節の屈曲動作と参考可動域】
脚を上に挙げる動作(股関節屈曲)の参考可動域は、ヒザを曲げた状態では125度です。これと比べて可動域が狭い人や、ヒザを伸ばしたまま脚を挙げて90度に満たない人に屈曲型腰痛が多いです。
過度の後傾を改善させるために、大殿筋、ハムストリングス、腹直筋のストレッチを行います。
体幹の脊柱起立筋のトレーニングも有効です。
さいごに
テレビや雑誌などのメディアで腰痛に効くストレッチが多く取り上げられていますが、腰痛の種類は様々なので全ての人に当てはまるわけではありません。
伸展型腰痛と屈曲型腰痛とでは、腰痛の症状緩和に効果のあるストレッチが異なるので注意が必要です。
伸展型の腰痛で腰を反らせると症状が悪化するタイプの人が、テレビで紹介されていた腰を反らせる運動を一生懸命行っていたという残念なお話を聞くこともあります。
自分の腰痛には、どの部位のストレッチが効果的なのか、どの程度の強度で行えば良いのなど身近の専門家に相談するようにしましょう。