運動を習っていると、
「骨盤から〜」
「骨盤を立てて〜」
「骨盤を前傾させて〜」
「骨盤から前屈して〜」
など様々な言葉の表現で指導を受けることありますが、自分自身が腑に落ちる言葉で動作を学習することが大切です。
こういった言語はわざ言語というそうです。
「わざ言語」には、3つの役割があるといわれます。「言葉では説明しにくい技術を伝承すること」「共同作業やチームワークを発揮するときに、自分の感覚を他人と共有したり協調すること」「自分がある作業をしてうまくいったときに、そのうまくいった感じを、相手にも突きつけること」 です。
すぐやる! 「行動力」を高める“科学的な”方法より
わざ言語も達人レベルになってくると、「地面の中心(地球のコア)と繋がっているいイメージで立ってください。」「頭は天に、足は地球と繋がるように」、「インナーマッスルを意識して」、「丹田に意識を集中して」など、だんだんと抽象化していきます。
長い期間教わっていると、後々に「あぁ、この感覚のことか」と理解できそうなこともありますが、初心者の方にはいきなりこのようにイメージするのは難しい場合が多いです。
まずは解剖学から骨盤の骨の部位の名称などを把握して、そこから自分の腑に落ちる表現を探してみてはどうでしょうか。
骨盤の動作
骨盤の前傾と後傾
骨盤の前傾 | 骨盤の後傾 |
骨盤の前傾・後傾動作について詳しくは下の記事をご覧になってください。
骨盤の骨の部位の名称
正面から見た骨盤 | 横から見た骨盤 |
①腰骨(上前腸骨棘 じょうぜんちょうこつきょく)
②恥骨
③坐骨
④尾骨
色々な言葉の表現が考えられるかと思うのですが、まずは上記の骨盤の骨の部位を自分で触って確かめてもらい、指導する側と指導を受ける側で言語を共有すると動作を学習しやすいでしょう。
私は上前腸骨棘は一般の方向けに「腰骨」と表現していますが、指導者と受ける側の共有できる言葉であれば何でも良いと思います。
骨盤動作の言葉の表現のいろいろ
骨盤を前傾・後傾させた際の骨盤の骨の位置や、筋肉の収縮感、伸長感を指導を受ける人自身で認識することが大切です。
骨盤を動かせているかどうかを指導者の判断だけに任せてしまっていては、いつまで経っても自分一人でできるようにはなりません。
骨盤の前傾
- 左右の腰骨(上前腸骨棘)と恥骨を結んだ三角形の面が下を向く
- 尾骨が後ろを向く
- 恥骨が下を向く
- 骨盤を立てる
- 腰を反らす
- 腰骨(上前腸骨棘)が太腿に近づく
- 尾骨を後ろに向ける
- 恥骨が下がる
- 背筋に力が入る
- 腹筋が伸びる
- モモ前~腰骨に力が入る
骨盤の後傾
- 左右の腰骨(上前腸骨棘)と恥骨を結んだ三角形の面が上を向く
- 尾骨が下〜前を向く
- 恥骨が上を向く
- 骨盤を寝せる
- 腰を丸める
- 太腿から腰骨(上前腸骨棘)が遠のく
- 尾骨をしまう、たくしこむ
- 恥骨を引き上げる
- 腹筋に力が入る
- 背筋が伸びる
- お尻に力が入る
骨盤の前傾と後傾動作の言葉の表現の全てを丸暗記するのではなく、運動していて自分にピンとくる言葉を見つけましょう。
さいごに
指導者は、運動表現の語彙を増やし、指導を受ける側の運動経験や現在の体力レベル、年齢、性別などを考慮して言葉を選択して指導すると、運動を学習しやすいでしょう。
自分の腑に落ちる運動表現の言葉を見つけると、より運動が楽しくなっていきます。