身体の硬い人がいきなり強度の高い大腿四頭筋のストレッチを行うと、ひざや腰を痛める原因となってしまいます。
「前後開脚ができるようになりたい」というような高い目標を持っていても、最低でも「片ひざを曲げたまま上体を後ろに傾けて両肩が床に着く」くらいの柔軟性がないと、いきなり前後開脚の練習してもなかなか柔軟性が上がっていきません。
まずは強度の低いストレッチから行い、余裕が出てきたらストレッチの強度を高め、徐々に動作を大きくして行きましょう。
大腿四頭筋のストレッチを安全に行うポイント
- 太ももの前面の筋肉が伸びているのを意識する。
- ひざを曲げる動作(膝関節屈曲)と太ももを後ろに伸ばす動作(股関節伸展)をコントロールする。
- ひざを曲げたときに腰が反らないように注意する。
- ひざ、足首、腰に負担がかかるときは中止するか強度の低いストレッチから行う。
大腿四頭筋の場所
膝を曲げた方の脚の太ももの前面の部位が伸びるのを意識しましょう。
ひざの上から太ももの前面のラインが伸びているのを感じながらストレッチしていきます。
大腿四頭筋の動作や解剖について詳しくははこちら
大腿四頭筋のストレッチでコントロールする動作
ひざを曲げる動作(膝関節屈曲)と、太ももを後ろに伸ばす動作(股関節伸展)の動きを大きくしていくとストレッチの強度が高くなります。
かならず足首、ひざ、腰の関節に負担がかからないように注意しながらストレッチしましょう。ストレッチの強度が合っていないと肉離れや捻挫などの原因となってしまいます。
ひざを曲げる動作(膝関節の屈曲)
膝関節の屈曲動作は、足のカカトをお尻に近づけるようにして、ひざを曲げる動作です。
足のカカトとお尻がどのくらい離れているか距離を測りながら動作を行いましょう。
太ももを体幹の後ろの伸ばす動作(股関節の伸展)
股関節の伸展動作は、太ももを後ろに伸ばしていく動作です。
この動作は、腰を反らせる動作(骨盤の前傾と腰椎の前弯)によって代償されることが多いです。太ももを後ろに伸ばす動作と、腰を反らせる動作を区別して行えるようにしましょう。
もも前の筋肉(大腿四頭筋)をより柔らかくして可動域を広げるストレッチの進めかた
大腿四頭筋のストレッチの強度を12段階に分けて進めていきます。
1.片方のひざを曲げた姿勢から上体をたおして手を着く
片方のひざを曲げた姿勢から上体を後ろにたおしていきます。
2.肘を深く曲げて上体を後ろに傾ける
上体の角度が後ろに傾いて床の方に近づくほど大腿四頭筋のストレッチの強度が高まります。
3.片方の肘を床に近づけて上体を後ろに傾ける
上体を後ろに傾けて片方の肘を床に着けます。
4.両肘を床に着けて上体を後ろに傾ける
さらに上体を後ろに傾けて、左右の肘を床に着けます。
5.片方のひざを曲げた姿勢から上体を後ろにたおして床に肩を着ける
足首とひざ、腰に負担無く左右の肩を床に着けられるようになってきたら、ひざを曲げていない方の脚のポジションを調整して、さらに大腿四頭筋のストレッチの強度を高くしていきます。
この段階までくると、前後開脚の動作に似てきたのがわかると思います。
5.片方のひざを曲げた姿勢から上体を後ろにたおして床に肩を着ける
6.もう一方の脚のひざを立てる
もう一方の脚の膝を立てると、膝を曲げている脚の太もも前面の筋肉の伸長感が強くなります。
7.もう一方の足で曲げている方のひざを下におさえる
膝をおさえて、もも前の筋肉を強く伸ばします。
8.もう一方の脚のひざを両手で抱え込む
もう一方の脚の膝を両手で抱え込みます。
抱え込んだ太ももを胴体の方へ近づけましょう。
9.両ひざを曲げた姿勢で上体を後ろにたおす
ブリッジ系の体を反らせる動作の柔軟性を上げたい場合は、両脚にひざを曲げた姿勢から上体をたおしていきます。
左右の脚を同時にストレッチする場合でも、体の角度が後ろに傾いて床の方に近づくほど大腿四頭筋のストレッチの強度が高まります。
腰の反りが出やすい姿勢なので、腰に負担がかかっていないか確認しながらストレッチしていきましょう。
10.肘を深く曲げて上体を後ろに傾ける
肘を曲げて、上体を後ろに傾ける角度を大きくしていきます。
11.両肘を床に着けて上体を後ろに傾ける
両肘を床に着けて、上体を後ろに傾ける角度を大きくしていきます。
12.両肩を床に着けて上体を後ろに傾ける
両肩を床に着けて、上体を後ろに傾ける角度を大きくしていきます。
さいごに
大腿四頭筋のストレッチを12段階の強度に分けて進めていきました。
前後開脚ができるようになりたいのであれば、5~8くらいのストレッチはできないと難しいかもしれません。
5~8のストレッチが困難な場合は、1~4のストレッチから行いましょう。
1のストレッチを続けていくと、その延長に8や12のストレッチの動作へと繋がっていきます。
ストレッチの強度の高め方をふまえて、怪我をしないよう安全に大腿四頭筋の柔軟性をつけていきましょう。