バレエやダンスをやっている人は、足の指先まで綺麗で細かな動作が求められます。
数百人は入るであろう大きなホールの後ろの席から観賞していても、足や手の指先の細やかな動きの違いがわかってしまうのは不思議なものです。
また、水泳競技でも足首伸ばす動作が硬いと、足首が曲がったままでは水の抵抗を受けやすくなりバタ足の動作が上手くいかないことがあります。
競技によっては大きな関節可動域が求められる足首の関節ですが、力任せに無理なストレッチを行なっては靭帯損傷(捻挫)など怪我の原因となってしまいます。
足首の動き方と足首の動きに関与している筋肉を理解して安全にストレッチを行なっていきましょう。
足首の動作
機能解剖学では、足首を伸ばす動作を「底屈」、足首を曲げる動作を「背屈」と呼びます。
底屈動作は、ふくらはぎの下腿三頭筋が縮むことによって行われています。背屈動作は、スネの前の筋肉群(前脛骨筋、長趾伸筋、長母趾伸筋など)が縮むことによって関節運動が起こります。
底屈動作の際はスネの前の筋肉群が伸びて、ふくらはぎの筋肉が縮んでいます。
足の甲出しの動作を大きくするためには、スネの前の筋肉をストレッチして柔軟性を高めていきます。
足首を伸ばす動作の柔軟性の評価方法
- 足首を伸ばす動作が硬い人の場合は、足首を伸ばした時にスネの骨の直線上よりも足の甲が下がりません。
- 柔らかい場合は、足の甲がスネの骨の直線上と同じかそれ以上、下げることができます。さらに柔らかい人は、つま先を床に着けられます。
足の甲出しのためのストレッチ
- 足の指の関節を折り曲げて、指の付け根に体重をかけながら足首を伸ばしていきます。
- 足の甲〜スネの筋肉が心地よく伸びているところで15秒~30秒キープします。
- 外くるぶしや内くるぶし周囲だけにストレスがかかる場合は捻挫の恐れがあるので中止する。
- 正座の姿勢で手で足の甲をつかみ、体重を前に移動して足の甲を床から浮かせていきます。
- 足の甲〜スネの筋肉が心地よく伸びているところで15秒~30秒キープします。
- ひざに違和感や痛みが出る場合は中止する。
- 外くるぶしや内くるぶし周囲だけにストレスがかかる場合は捻挫の恐れがあるので中止する。
伸びているのを意識する筋肉
- スネの前側〜足の甲の筋肉の伸張を意識する。
- スネの骨の直線上に対しての足の甲の角度をストレッチ中やストレッチ後にチェックする。
足の指を握る動作が苦手な場合
足の指の根元の関節を曲げる動きが硬い場合は、立った姿勢で足の甲出しのストレッチを行なっても十分に体重が乗らずストレッチが上手くいかなかったり、足首を傷めてしまうことがあります。その場合は足の指の根元の関節を曲げるストレッチから練習していきましょう。
- 足の指を握る動作が硬い人の場合は、指を握った時に指の付け根の関節が出ません。(手の関節でいうコブシの関節の部分)
- 柔らかい場合は、指の付け根の関節が手のコブシのように隆起します。
足の甲の筋肉のストレッチ
- アグラや長座の姿勢で、手で足の指の根元の関節を折り曲げてください。
- 足の甲の筋肉が伸びているところで15秒~30秒キープしましょう。
- 手を使わなくても足の指を握った時に指の根元の関節が隆起するようにしていきましょう。
タオルを足の指でたぐり寄せるトレーニングも有効です。
マッサージボールとストレッチ
スネの筋肉の緊張が強い場合は、マッサージボールでマッサージした後にストレッチを行うとよいでしょう。
指を握りながら足首を伸ばすトレーニング
足の指でタオルを引き寄せるタオルギャザー運動や、セラバンドやゴムチューブを使って足の指を握る際に働く筋肉、足首を伸ばす際に働く筋肉をトレーニングしましょう。(できればセラバンドやチューブは実際にさわってみて硬さを確認できるとよいです。)
さいごに
体の硬い人は、足の指の根元の関節を曲げるストレッチから行なって、次に正座姿勢で足の甲出しストレッチ、立った姿勢で足の甲出しストレッチ、というように段階的ににストレッチの強度を高めていってください。
一見関係のないように思えるスネの筋肉を意識するのも足の甲出しのストレッチでは重要です。
捻挫などの怪我に注意ながら、少しずつ足の甲出しの動作を大きくしていきましょう。