ストレッチやトレーニングの動作は 『 対 』で考えた方が良いと僕は考えて
います。東洋医学では治療に陰陽論を用いますが、陰陽論の特徴の一つとして
『 陰陽の対立と制約 』 が挙げられます。
陰陽論では、あらゆる事物を、対立し、また相互に制約しあう二つの側面からとらえる。例えば、上と下、左と右、天と地、動と静、出と入、昇と降、昼と夜、明と暗、寒と熱、水と火など、例をあげればきりがない。つまり陰陽とは、対立的であり、また統一的な関係である。対立は二者の間の相反する一面であり、統一は二者の間の制約しあいながら、同時にまた補完しあう関係である。対立が無ければ統一はないし、相反するものがなければ制約し、補完しあうこともない。
(東洋医学概論 医道の日本社 社団法人東洋療法学校協会編 教科書執筆小委員会著)
・骨盤が立つ(前傾させる)けれど、寝せれない。(後傾できない)
・股関節を外に捻れる(外旋動作)けれど、内に捻れない。(内旋動作)
(アグラ姿勢はとれるが、女の子座りはできない、など。)
・腰の背骨を反らせるけれど、丸められない。
・肩甲骨を背中の背骨の真ん中に寄せて胸を張れるけれど、
肩甲骨を背中の背骨の真ん中から離して背中を丸められない。
・足の親指(母指球)に体重を乗せられるけれど、小指(小指球)に体重を乗せられない。
このように片一方の動作しかできなくなっている方が教室に多くいらっしゃい
ますが、『 正しい動作 』だけ行っていると、それは
それで身体の柔軟性や筋力のバランスが崩れ、運動制限や痛みなどの不具合が
出てしまいます。
・立てる-寝せる
・曲げる-伸ばす
・広げる-閉じる
・外に捻じる-内に捻じる
・上げる-下げる
・腹側面-背側面
・中心-末端
・下半身-上半身
・右半身-左半身
というように人間の動作や身体は『 対 』になっています。
『 正しい 』動作の逆はどんな動きなのか、たまには逆の動作の方にも意識を
傾けてみることを教室ではオススメしています。
【追記】
書いていて気付きましたが、僕はこれを意識しているからセミナーの話にパンチと切れ味がないのかもしれません。
「開脚前屈動作の時は、骨盤を立てるのがポイントです!
でも、終わった後は骨盤を寝せる運動もしましょう。寝せるのも大切!」
自分で自分の言っていることを相殺してしまっているパターンが多い。
「ハッキリしないな、どっちやねん。」と思われていた方々すみません。でも両方大切なんです。